デイリーポータルZロゴ
このサイトについて

特集


ひらめきの月曜日
 
雨のスワンボートめぐり

風はなく、しとしと雨だけが降る。梅雨の雨だ

ちゃんと営業しております

港の男達はこちらでも働き者のようだ


さらに強まる雨、井の頭公園へ

上野公園を出るとその足で井の頭公園へやってきた。しとしと雨は降り続く、振り方はさらに強まっている。

井の頭公園というと、桜の季節に花見で来たり夏に花火をしに来たりアッパーなイメージが強い。それだけに、今日のこの静かな梅雨の人けのないさみしさがぐっと迫る。

しーん。

静まる園内とわたしの心。

はっ! なんだこれ、なんだこのテンションは。公園の静けさに飲み込まれそうになってしまった。いかん、ボート場へ行こう。

この雨でもやはりボート場は営業中だ。入り口は、手漕ぎボート、普通のサイクルボート(足漕ぎボート)、スワンボートの3種類ごとに分かれて並ぶように入り口が分かれていた。週末とか、晴れた日は並ぶのかもしれない。

並ぶ人もいない入り口をどんどん入っていく。こちらも券売機制。値段設定も上野公園とおんなじだ。

ひとり券を買っていると、係の方がどやどや3人も出てきてくれた。若い男子たち。上野公園でもそうだったが、係の方は「雨、女一人」というあからさまにボート的でないこちらの事情をいぶかしがることがなく準備にかかってくれる。ありがたいのだが、ちょっと拍子抜け。

チケットを受け取ると、サッサッとボート内をふいてすぐに案内してくれた。

本日2度目の出航
いくぜ!
   
岸辺から垂れる枝にタッチしてみたりして

誰もいないとなりはペダルがカラカラ空回る

こみあげる情緒

ばしゃばしゃばしゃばしゃばしゃ。あまり広くはない池を走らせる。

こちらの池は、岸から木がせり出していて、岸辺を走らせるとどこかの川を下っている気分になった。去年の今頃、旅先のベトナムでメコン川をボートで下ったのを思い出した。

この手の乗り物の宿命だが、その中に入ってこぎ出してしまうと、自分が乗っているのがスワン型であることを忘れる。ポケモンジェットも乗ってしまえばただの飛行機なのと同じだ。

スワンに乗りながらにして情緒的な気分になれる。何しろ、水の音しか聞こえないこの静けさだ。

しぶい。スワンボートに乗ることが行動の種類としてここまで渋いものになるとは。梅雨、おそるべし。

 


しとしとしとしと。聞こえるのは雨の音と漕ぎゆくボートのしぶきのみ

井の頭恩賜公園

東京都武蔵野市御殿山1−18−31
0422−47−1538(ボート場 )

ボート場営業時間 10:00〜18:00
定休日 2005年は11月まで無休
雨天の営業 「よほどの強風でないかぎりやってます」
スワンボート :700円(30分)
ローボート:600円(60分)
サイクルボート:600円(30分)


売店ではビールをのむ人が。それもいいですな


大人の趣味、雨のスワン

この新しいスワンボートの味わいを誰かに伝えたい。誰か私のこの静かな興奮を受け止めてくれる人はいないだろうか。

「今日雨の中スワンボートに乗りまして」
「ほほう」
「みょうな雰囲気があって良かったんです」
「情緒がありそうですね」

声をかけてみると、言わずともその雰囲気を汲んでくれた人がいる。翌日ボート場へお誘いした。


お誘いしたのはこの方
「こんにちわ。 火曜ライター乙幡です」


 

▲トップに戻る 特集記事いちらんへ
 
 

個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.