向こう側の水路に渡ってみた
柱のあいだをくぐり、もと来たほうを振り返ってみる。
真っ暗だとおもっていたけど、分水路の入口からは昼の光がこうこうと差し込んできている。
そして左側(下流側)には水路がずっと奥まで続いているのが見える。おそらくこの先をすすんでいくと、さきほど見た水道橋のところの入口に出るのだろう。
やはりどこまでも水路がつづき、奥のほうは何もみえない。
東京に住んでいると、どんな夜道でも完全にまっくらということはあまりない。何も見えなくて怖い、という感覚を久しぶりに思いだしければ、どうぞ神田川へ。
まっくらな絵ばかりなのもどうかと思い、天井を見上げてみた。
げげ、なんだか気味の悪いものがいっぱいぶら下がっている。
規則的に並んでいるので、もともとはちゃんとした構造物だったものがサビたか何かしただけだろうけど、暗闇の中でみると気味の悪さが5割増しくらいになるようだ。
元の水路にもどって、あたりを見回してみる
ひととおり観察したところで元の水路にもどり、あらためて周囲を調べてみる。
壁面を照らすと、赤い文字で数字が書かれているのをいくつか見かけた。おそらくは入口からのメートル数だろう。
上記の場合は、入口から60mの地点ということだろうか。目で見るだいたいの距離とも一致している。違うかもしれないけど。
そして、壁面にかかるはしごもいくつか見かけられた。そこから地上に出られるようになっている。
天井に入口のマンホールを発見。 はげしく錆びている。
はしごには、たまに生き物が住んでいることもある。 たとえば次のような。
ヘビさんじゃないですか!
赤いビニール袋の上で、ヘビが首を伸ばす。たまにチロチロと舌を出すのが見える。
もしかすると、寝ていたところを、明かりで照らして起こしてしまったのかもしれない。だとすると、ごめん。でもこっちも結構おどろいたんだ。
勇気をだして進もう
たまに暗闇からバシャーン!と大きな音が響き、水路内に反響する。たんにコイか何かが跳ねているだけなのだろうけど、突然なのでびっくりする。
いろいろなものを見ているうちに、少しづつ怖くなってきてしまった。本当のことをいうと、もうそろそろ引き返したい。
ただ、奥のほうからかすかに車のクラクションが聞こえるような気がする。もしかするともう出口が近いのかもしれないとも思う。
がんばれ、もう少しだ。男の子でしょ!
親が子に言うような口調で、なぜだか自分自身にいい聞かせる。
何回かカーブを抜けながら、少しづつ進んでいく。
車の音は確実に大きくなっている。すぐそばをダンプカーが通り過ぎているようにも聞こえる。
次のカーブを曲がったところが、出口であって欲しい。そろそろ日の光がみたい。