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特集


ちしきの金曜日
 
「歩道橋」を鑑賞する

■日本最初の歩道橋

最後にお口直しに日本で最初の歩道橋をご覧いただこう。

実は「歩道橋の日」というのがあって、4/25日がそれだ。 1963年、大阪駅前に横断歩道橋が完成したのがその由来である。そのためこの大阪駅前の歩道橋が日本で最初の歩道橋であると多くの人が勘違いをしている

実は日本で最初の歩道橋は愛知県の枇杷島という場所にある。1959年に作られたものだ。大阪の歩道橋は松下電器産業が寄贈したもので、同社のサイトにも「日本最大(当時)の歩道橋を当社が建設し」とある。同社、って言ってもまあぼくが勤めている会社なんですけども。

ともあれ当時日本最大、ということはそれ以前に歩道橋があったということだ。



問題の大阪駅前の歩道橋。さすがに古びており、その佇まいはなかなかのものだが、いかんせん大きすぎる。というか、サラリーマンとしてはなんか悪口言いづらいなこりゃ。

プレートにも確かに「昭和39年」とある。


ということで、正真正銘の日本最初の歩道橋はこれ。

日本で最初の歩道橋。まだまだ現役。


1959年って言ったら、あれだ。とにかく古い。正直、現存しているとは思わなかった。コンクリート造のマッシブな雰囲気で、当然のことながら浮かれた気配はみじんもない。

すぐ近くに小学校があったところから、おそらく冒頭でも述べたように通学路の児童を交通事故から守る目的でいち早くつくられたものだと思われる。


使い込まれたテクスチャ。どこにも「日本で最初」との表記はなく、建設年代も記されていなかった。


階段の勾配はややゆるやか。


日本で最初と誇るわけでもなく、淡々と仕事を続ける歩道橋。ちなみにここ枇杷島は CoCo壱番屋の1号店がある場所でもある。だからなんだ、と言われると困るが。

同じ名古屋でもこっちのほうがよっぽど愛地球博だと思う。言ってて自分でも意味分からないが、なんとなく。

東京タワーに一番近い歩道橋。トリビアにもならない無駄な知識。

高度成長が終わり少子化の影響などもあって、交通事故による子供の死亡者数は10年で半減。それとともに「緑のおばさん」や交通安全グッズもすたれ、そして歩道橋もまたターゲットを変えつつある。現在の交通事故対策は高齢者や体の不自由な人々へであり、登り降りがきつい歩道橋は見直しが迫られている。

歩道橋マニアが好む歩道橋がなくなったとき、ほんとうに人に優しい町ができあがるのだろう。

なんかいつになくまじめなエンディングになってしまった。こんなつもりじゃなかった。



 

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