僕の周りだけモーゼが割った海のように空間ができている。こういうの見たことあるぞ。そうだ、満員の終電で吐きそうにしていたよっぱらいの周りだ。
そうか。いま僕はあそこに立っているのか。
透明な存在になる
東京、大阪とピエロで歩いてみて僕を見る人が好意を持っているかどうかが目でわかるようになった。捨てられた子犬のような能力である。段ボールのなかから(メンタルな意味で)優しそうな人を探してみる。大阪のように目が笑っている人はいないだろうか。
だが、誰も目を合わせてくれない。
ここで人気者になれる確率はゼロだ。
|