竹輪としてのちくわ
竹に生地を巻きながら思ったのだが、そもそもちくわとは竹に巻き付けて作るから、“竹輪”という。さて、実際竹を使って作られたちくわを私は食べたことがあるだろうか。
今日まで市販品のちくわしか食べたことがなかった私だ。おそらく、竹を使って作られた本来の意味でのちくわを食べるのも生まれて初めてのことになる。いやっほう!
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完全にテンション戻ってきました |
ギャラリーの出現
焼いては生地を巻く、それをしばらく繰り返していると近くを散歩していたらしい男性に声をかけられた。
「東北の方ですか?」
突然そう言われ、何がなんだか分からず「え、いえ、関東出身ですが」とそのまんま答えると、どうもその男性は私が秋田の郷土料理、きりたんぽを作っていると思ったらしい。
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言われてみれば確かにきりたんぽ的 |
えへへ、これ、ちくわなんですよ、と言って、たたみかけて状況についてフォロー。「ホームページにのせる料理写真の撮影なんです。太陽光だときれいに写真が撮れると思ってこうして外で」。へえ、といって納得してくれたようだった。
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がんばってなあ、と言って去っていった |
一人で作業をしているとき、声をかけられるとどうもどぎまぎしてしまう。いけないことをしている訳ではないのだが。
さらに、そんな私と男性のやりとりを見ていた第二の男性が近づいてきた。
「努力してるんだねえ、こんな暑い日にねえ」とさかんに本気でねぎらってくださる。
いやー、あはは、と笑って、なんとなくの受け答えをして私は作業に戻ったのだが、おじさんはどうやらしゃべり相手が欲しいようだった。
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おじさんの話は続き、私は私でちくわを焼いていく |
私をねぎらう話から、最終的にサラリーマンの苦悩と一次産業、二次産業の弱みへととどまることを知らない。どうしてよいか分からず、なんとなく相づちを打ちながらちくわを焼いた。
やっぱりこれは夢なのか。
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話のヒートアップとともにちくわも焼けてきた |
「最近は女の子は強いよね! 会社でもヒラの男子社員にパワハラなんてあったら、すぐまわりの女の子が人事にチクっちゃうんだから、上司はたまんないよなあ!」
おじさんの尽きぬ話とどんどん太くなっていく私のちくわ。
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さらにどんどん焼いていく |
そんな、新橋のガード下のような会話を交わしながら、作業もフィナーレへ。
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