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ちしきの金曜日
 
狛犬の鼻の拓を採る

■拓狛ツアーの様子

こんな感じの鼻の拓を採るための小旅行に出かけたというわけです。


移動は駅前から自転車で
「変わった狛犬を見ることができますよ」とのこと
最初に到着したのはここ。一見普通の神社ですが
名前が変わってる

「この『調神社』ってなんて読むか分かりますか?」
「『チョウ神社』とかですか?」
「いや、これ『ツキ神社』って読むんですよ」

「調」と書いて「ツキ」。地元では「つきのみや」とも呼ばれているらしい。この「調」はもともと伊勢神宮へ納める「貢物」のことだそうだ。

「ツキと言えば…もう分かりますよね?」
「いや、わかりません」


狛犬が…
ウサギだ!

もともと「調」と「月」は同じ読みで、そこから月待信仰に結びつき、ご存じ月のマスコットであるウサギが神社のキャラクターモチーフになったとか。全国でも有名な神社らしい。


手水舎にもウサギが
前から見るとちょっとまぬけだ

 

■無理はしない


まずはお参り。必ず行うこと。

「ウサギの拓狛なんて、楽しみですね」
「いや、それが。ここでは拓泊は採らないんですよ」
「え、なんでですか?」
「これはよくあることなんですけど、狛犬の台座が高すぎるんです」

狛 犬はたいてい台座に乗っているが、年月を経るごとにこの台座が足されていき、結果的にずいぶんと高いところに狛犬さんが鎮座ましますことになるケースがあるのだそうだ。神社やその地元にとっての節目になる年に神社に対して寄進が行われる際、台座がその対象になることが多いためだという。

「そういうときは無理に登ったりせず、見るだけにします」


とくに有名な神社だと寄進が盛んに行われるので標高が上がる

高い。よく見ると台座の石の色が違う
だからそのフキダシはいったい

「本来は狛犬さんはもっとフレンドリーなもののはずなので、こういうケースは残念です」という吉野さん。
「屋根がかけられるわけでもなく、入り口のところにいる狛犬は、ことさら威厳に満ちた存在ではないはずなんですよ」
「神社にあるってだけでなんだか恐縮しちゃいますけどね」とぼく。
「わたしが最初に狛犬に興味を持ったきっかけは盛岡天満宮の狛犬だったんです。ここの狛犬は石川啄木お気に入りの狛犬で、実に素っ頓狂な顔をしているんですけどね」
「へー」
「ぼくも狛犬ってもっと威厳に満ちた存在で気安く触っちゃダメなんじゃないかと思ってたんですけど、きけば石川啄木はこの狛犬にまたがって遊んだりしていたらしいんですよね」
「へー」
「もともと狛犬さんは、近所の子どもたちの遊び相手だったんじゃないでしょうか」
「なるほど、昔のライドってわけですね」


 

 
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