■しっかりカドイシ
カドイシの中には石ではなく、コンクリートなどでしっかりと作り込まれているものもある。たとえばこんな作品だ。
もとはなにか別の目的のために設置されたものか。建物にぐいと食い込んだ立ち姿に、思わず「抱かれたいカドイシNo.1」と名付けたくなる頼もしさを感じる。
まさにカドに合わせた直角三角形の造形。痛々しく欠けた様子に、その任務の過酷さがじわり。
こちらは一転、丸みを帯びた、あまり存在を主張しないカドイシさん。性別でいえば女性だ。しっかりと据え付けられつつも、どこかはかなげな雰囲気を漂わす。 本末転倒ながら「守ってあげたい」と思わせる佇まいである。左にある交通標識もきっとそう思った挙げ句にここに立ったのではないか。両者の末永い幸せを祈 りたい。
上は、しっかりと据え付けられつつもあまりに壁と一体化しすぎてカドイシとして不安がのこる。しかし度重なるアタックによって傷を負い、それを修復しようと試みた跡がいたましい。壁側が「もういいんだよ」と言って抱きしめているようにも見える。涙なしには鑑賞できないカドイシである。しかし、人んちの玄関先で泣くのは避けたい。