滑車を使うのだ
重いものを持ち上げるのには滑車を使うとよい。実は小さな力で大きな仕事をするという点では滑車もてこの一種といえる。
滑車(この場合は動滑車)を一つ使うと引っ張る距離が倍になる代わりに加える力は半分になる。つまり20キロのポリタンクを10キロ分の力で持ち上げられるようになるわけだ。
理屈ではわかっていても、実際滑車を組んで引っ張ってみるとその軽さに驚く。さっきまであんなに重かったポリタンクが、座ったままで引き上げられるのだ。やっぱ物理すごい。
滑車3つを使うのならば動滑車を2つに組んだ方が重さを4分の1にできるので楽そうなものだが、そうすると引く長さも4倍となりロープが足りなくなるのだ。よって引いて落とすことを考えるのならば半分の10キロがリーズナブルだと物理的に判断した。物理、ミスタイプするとぶちゅり。
ぎりぎりとロープを引くとポリタンクが浮く。落ちる点を見極めながら板と支点をセットしたら準備完了だ、後は手を離せば飛ぶ。
準備する間に日は真上に昇り、公園では子供達によるサッカーが始まってしまった。隣の鉄棒がゴールのようだ。おかげで外したシュートががんがん飛んでくる。遠くで見ている別の子は鉄棒が使いたさそうだったが、片方ではお兄ちゃん達がサッカーをし、他方では変なおっさんがタンクを吊しているので悔しそうだった。
今はまだ「遊具を占拠する変な大人」だが、実際飛んだら逆転するはずだ。「あの大人、板で飛んでった!」ってなるに違いない。その鍵は、この手の中にある。
そう、いま僕がこの手を離せば僕は飛ぶのだ。
驚愕の結果は動画でお届けします。