聖蹟桜ヶ丘の朝顔市へ
国立を後にして次は聖蹟桜ヶ丘で行われる「せいせき朝顔市」に向かう。
休日の電車はまだ人は少なく、野球少年と女子高生、オシャレな大学生で占められている。端から見れば私もオシャレな大学生に見えていることだろう。そう願っている。
雨が降りそうな空模様であったが、私の日頃の行いがよかったのか、太陽が本来の実力を発揮しはじめた。先日、期限内に市民税を納めた私の行いが、ここで効いて来たのだと思われる。
特に素晴らしい朝顔
私のような朝顔素人は、花さえ咲いていればなんでも「素晴らしい」という朝顔玄人から生き肝すすられても文句が言えないようなことを抜かしているが、朝顔界にもキチンとランクが存在する。朝顔にもエリートがいるのだ。
聖蹟桜ヶ丘駅の改札をくぐるとまず目に付いたのが賞を貰った朝顔だ。
朝顔にも素晴らしい朝顔とそうでない朝顔が存在するのだ。私も朝顔の素晴らしさが分かるナイスミドルになりたいと願った。なんとなくその朝顔の前で「なるほどね」と頷いたりもしてみた。
質より量
メインの会場は決して広いとは言えないが、朝顔の海は十分に広がっていた。質より量という言葉があるように私のようなナイスミドルではない人間は、朝顔の数に圧倒され感動を覚える。やはり朝顔は美しい。
ここも朝顔以外に野菜が売られていた。朝顔に野菜と緑が多い祭りである。朝顔は一鉢1500円と先の国立と同じ。朝顔の相場なのだろう。時間が早いためか買い求める人は少なかった。
私も買い求めなかったが朝顔は相変わらず綺麗だった。私は朝顔という花がやはり好きなようだ。
森下の朝顔祭り
私もいつか朝顔市で朝顔を買うような風流な人間になろうと朝顔市に行って思った。
やはり粋な感じがするのだ。
成長した証なのか、小学生の頃に育て見ていた朝顔とは違って見える。大人になると味覚が変わって嫌いだった食べ物が食べられるようになったりするが、それに近い物を感じる。小学生の私は朝顔を風流だとは思わなかった。
向かっている森下で行われる「森下朝顔市」は私が入手した情報によれば8時に始まり12時には終わってしまうという幻の朝顔市である。
1年に1度しか開催されずそれも僅か4時間で終わってしまう。私が過ごした青春よりも短いでは無いか。いや、いい勝負な気もする。
好きだこういう感じ
朝顔市は深川神明宮で行われる。鳥居の前には朝顔がずらりと並び、境内ではカキ氷や焼ソバなどの屋台が並ぶ。近所に住む子供らが、大きな口を開け焼ソバを頬ばり、赤や緑に染まった氷を溶かさんとする程の温かい笑顔をふりまいている。
さて、朝顔であるが、年配のご夫婦がよく買って行くようだった。若い家族連れは境内の屋台がメインだ。
しかし鳥居の前に並ぶ朝顔の海は太平洋のごとく広がり、鳥居と相まって最高の風流をかもし出していた。風流の過剰摂取が体に害を与えると聞いたことが無いのが、何よりである。
境内も散策した。本来は保育園を併設した静かな神社なのであろうが、この日ばかりは多くのテントが並び先に書いたように夏のビーチのような賑わいを見せていた。
ヤカーリングと言うものあり、その前だけは私が見た限りは私の交友関係のように閑散としていた。
祭りの賑わいが朝顔の風流さを増進させ、朝顔が更なる素晴らしき花へとなっていた。
私はもう朝顔しか愛せないのではないかと思うほどに朝顔の虜だ。こんなにも虜になったことがあっただろうか。もう朝顔しか私の目には入らない、と駅に向かうまでは思っていた。
サマーカーニバルへ向かう
現在の時刻は10時半である。1つ目の朝顔市に向かうために朝5時に起きたために1日が長い。
夜の蝶も驚くミスター夜型である私にとって午前という時間は未知の世界と言っても過言ではない。好きな朝顔をたらふく見れているのがまるで夢のようである。いや、夢を見ていて、私はまだダニもが嫌がる万年床で眠っているのではないかと思ってしまう。
「むにゃむにゃ」。埼玉は蕨で行われている「あさがお・ほおずき市」に向かう電車の中で私はそう言っていただろう。
天使のような寝顔だと自負しているが、一部の人間には「朝からはキツい」や「寝起きに見るとキツい」などとインフルエンザにかかった時のごとく「キツい」を連呼する感想を述べられる顔を私は車中で披露していた。
サマーカーニバルの朝顔市
朝顔に風流を感じることが出来ることを私は幸せに感じ、日本に生まれてきてよかったと思う。ニューヨークでハンバーガーを齧りながらの朝顔は風流を微塵も感じないが、日本での朝顔はやはり風流である。日本ならではなのである。
日本ならであるが、どうやらこの朝顔市の正式名所はサマーカーニバルであるようだ。副題として「あさがお・ほおずき市」である。
最近の邦画を考えれば、「あさがお・ほおずき市」の部分は「THE MOVIE」の部分にあたる。メインはサマーカーニバルなのである。
和洋折衷といえばいいのかもしれないが、私的には風流レベルが最盛期の大魔神佐々木のフォークほどに落ちてしまう。
しかし、ここは朝顔だけではなくほおずきも付いて来る。これは風流レベルが高い。悪者なりきれないB級映画のギャングのようだ。
浴衣を着た女性が朝顔の販売を行っていた。やはり風流レベルが高い。私は男性の浴衣には露ほどの興味も無いが女性の浴衣については最先端のファッションの流行を追い求める女性のごとく興味がある。それは風流だから好きなのであって他に意味は無い。
イベントの名前が気に入らないが、浴衣、ほおずき、朝顔と3つの風流がかさなりますます朝顔を愛さずにはいられなくなった。
さらにここで初めて食べるラー油も見た。全ての興味が持っていかれた。私は食べるラー油を食べてことがなく、ここ最近そのことばかりを考え生きてきていた。素晴らしい朝顔市である。