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ちしきの金曜日
 
ふしぎな動物園を再訪する

城なんてあったっけ

城もあった

見つけてしまったのは、「城」だ。動物園に遊園地があるくらいなら、まだなんとなく理解できるのだが、なんで城を造ってしまうのか。


想像以上に本格的な城が出てきた

入れるのか…

さっきまでの遊園地とは打って変わって、みょうに威厳のあるものが出てきた。

さらに近づいてみると、入り口がある。それにしてもこの「入り口」の薄暗い雰囲気がB級感満点だ。

足を踏み得れると、何年もずっと開けていない秘密の土蔵のような匂いがした。

いや、言ってしまうと、カビとホコリの臭いである。ここ、たぶん喘息の人とか入らない方が良い。


順路通りに進もうとして最初に出てくるのがこれ。「でかいスズメバチの巣」の展示

突き当たりに動物の標本がおいてあった
こっちは珍しい虫の標本

城の1階スペースは生き物の標本の展示スペース(と使わなくなったものの物置)になっていた。この薄暗さも相まって、凄く恐い。しかし、こういう恐がらせ方、アリなのか?


とにかく暗い。画像中央に「4階・釣天井」の貼紙が

階段を上って釣り天井へ

このお城、階段があるので上まで行けるようだ。しかし階段を上るにつれて、どんどん暗くなってゆく。

暗くなるのは意図的な演出ではない。単に、蛍光灯が切れているのだ。

嫌な雰囲気がマックスになったところで、踊り場に「4階・釣天井」「4階・展望台」の貼紙を見つけた。

は?釣天井?!不吉すぎる!と思ったら、ここでデジカメが一瞬不調になった。


「釣天井の間 御自由にお入り下さい」って気軽にとんでもないこと誘っている

デジカメは再起動したら直った。「直ったから嬉しい!良かった!」ということではなく、とにかく気味が悪くてイヤになる。

そしてついに釣天井の間についたところ…


釣天井は、故障中でした

…宇都宮動物園の掌の上で弄ばれているような気がしてきた。僕の感情の行き場をどうしてくれるんだろう。

ちなみに、わざわざ動物園の中の城に「釣天井」の仕掛けを作ったのは、「宇都宮城に釣り天井が存在した」という伝説にちなんでのことだと思う。(ウィキペディア「宇都宮城釣天井事件」)詳しい解説はウィキに譲るとして、実際の宇都宮城には釣天井はなかったのだ。

実際にはなかった釣天井。そんなものを再現しないで欲しい。そしてどうせ再現するなら、ちゃんと動くようにしておいて欲しいと思う。


ちなみに、同じ階にある展望台からは遊園地ゾーンが一望できます

 

職員の手描きプロフィール

動物園だけでも充分奇妙だったのに、遊園地と城も相当怪しい。宇都宮動物園はただのB級スポットではなかった。さながら、満漢全席を食べ終えた後のような気分である。食べたことないけど、多分、こんなこってりとした胃もたれの心地に違いない。

もう今日はお腹いっぱい。そう思っていたら、出口付近でまた妙なものが出て来た。ダメ押しのデザートだ。


そのデザートとは手描きの「社員紹介」

この社員紹介ファイルが、また何とも言えない雰囲気を出しているのだ。なかなか狙って出来る味ではない。とにかく見て下さい。

中学生の卒業文集みたいなノリで作ってある

いちおう気を遣って名前部分は塗りつぶしております

「気はやさしくて…」のくだりから、描いている人の年齢が推測できる

この調子で、20人くらいの社員の方の紹介が描いてあった。ファイルの表紙では「気軽にお声かけ下さい」なんて言っているけれども、プロフィールを知ったからといって、動物園で忙しそうに働いている人に、そうそう声なんてかけられるものではない。たぶん、職員の人が作りたくて作っちゃったんだろうと思う。

 

後記

長めの記事になってしまったが、実際に、動物園に滞在していたのは3時間未満。内容の濃いヘンテコばかり見ていて、すっかり疲れてしまった。

そういえば、幼少の頃の僕が宇都宮動物園に来たら、到底3時間なんてものじゃ済まなかった。あの頃と今では、見るものも感じるものも違う。体力も。

同じ場所にいながら、大人から子供まで、全く違った視点のままで楽しめる。そんな場所は世の中にそうそうないと思う。ぜひ一度行ってみることをお勧めします。

今では「もう帰るよ」側の人間になったんだな

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