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はっけんの水曜日
 
給湯室でする現代版茶道

給湯流にとっての「侘(わび)」

うなぎパイに口の中の水分を吸い取られたところで、恐れ多くも家元(仮)に入れていただいたお抹茶をいただく。

ここで重要になるのが茶碗である。

利休は朝鮮の庶民が使ってボロボロになった茶碗や、漁師が魚を捕るのに使ってボロボロになった籠などを、「侘びてる!」と珍重し、それを見た秀吉が「これが最新のモードなのか!」と焦ったそうだ(って家元(仮)がいっている)。

この話を超解釈した結果、給湯流で侘びているとされている茶碗がこれだ。


後輩の実家にあったちびまる子ちゃんの茶碗。

そして赤胴鈴之助。こんな顔だったっけ?

どこの実家にも一つは眠っていそうな、価値があるんだかないんだかわからない茶碗に対して、「侘びてる!」を連発する家元(仮)。

この人、やっぱり茶道で遊んでいるだけなのかもしれない。

家元(仮)にいわせると、ベストジーニスト賞をとりがちなタレントなどが、ボロボロの古いジーパンを何十万も出して買う思考回路の発祥は、この利休の教えなのだそうだ。


でも私には普通の茶碗がまわってきた。侘びているのか、いないのか。

お茶を三回半ですする

お茶会では、お茶を入れる亭主が、一番前に座る正客に対して、どれだけいい茶碗でサーブしているのかを自慢したりするものらしい。

「この絵が表になりますから、これが前にくるように回して…」と、もっともらしいことを家元(仮)が教えてくれるが、その手に持つ茶碗の絵はちびまる子ちゃん。


「15年前のまる子椀ですか。なかなか侘びた茶碗どすなあ。」

家元(仮)が京都の茶会(本物の方)に稽古でいったら、美術館から借りてきた高価な茶碗と、稽古用の安い茶碗が並んでいてたそうで、それを知らない家元(仮)が花柄の茶碗を手に持って、「この茶碗かわいいですね」っていったら、「それ、稽古用どすー」ていわれて、さらに「あなたももっと目を磨かないとだめどすねー」とダメ押しされたそうだ。京都怖い。

そういうものに対する反発心が、家元(仮)をここまで本気にさせているのかもしれない。

いや本気なのかがよくわからない人なのだけど。


左手を下に置いて茶碗を持ち、いわれるがままに三回半でズズズと抹茶を飲み干す。そろそろ足が痛い。

ZOOっとお茶をすすりながらのチューチュートレイン。

家元(仮)が目指すもの

茶道をやったことのなかった家元(仮)が、漫画を読んで給湯流茶道を始めたのはいいとして、最終的になにを目指しているのだろう。

「給湯流のコンサル事業を始めようと思っているんです。給湯だけに910円で。ガチで。ゆくゆくは全国のOLちゃんが各給湯室支部になって、私がコンサルにいくと、「ああ、家元さん!」みたいな。もえー。でも誰からも申し込みがなくて、つらいなって。」

最後までどこまで本気なのかわからない人だった。ちなみに家元(仮)から(仮)がとれるのは、タモリ倶楽部に出演したときだそうだ。

せっかくスーツを着たので、サラリーマン気分で飲み会をしてみた。

写真(一部)/岸本咲子

撮影場所/株式会社アイ・ブロードキャスト

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