ここでちょっと別メニューを
さて片栗粉が途中ではあるが、他にもひとつ、当時の好物を紹介したい。
そう、納豆である。紅いのは何かというと、焼き鮭だ。当時は今みたいに小袋の「納豆のタレ」がついていなかったため、ふつうの醤油をかけて食べていたのだが、ここに鮭の甘み・旨味が加わることで納豆が格段に美味しくなるという、ぼくのお気に入りの食べ方。 なのだが、ここで紹介したいのはこれではなく、
納豆をかき混ぜたカップ、これで食べるご飯がわれわれ兄妹の大好物だった。
なんとなく汚い絵面で申し訳ないが、納豆のねばりと風味を仄かにまとったこのご飯が、ものすごく好きだったのだ。この「おかわり」が食べたいがために納豆を食べていたといっても過言ではない。
なんにせよ、当時のわが家の事情について兄妹であらためて話し合った結果、「それなりに貧乏」という見解で一致した。
で、カタクリコはどうなのだ
話をカタクリコに戻そう。 え〜と、つくりなおしたのが出来上がって……そうそう、自分で食べるまえにまず身内に食わしたのだ。
ひと口食べて納得した妹。「もう食べることもないだろうと思っていたが……」と恨めしそうな発言も飛びだした。 アカン! あの頃のハングリーな気持ちを忘れたらアカンで!
うむ。たしかにいま食べて美味しいものではない。なにしろ正体は片栗粉と砂糖なのだ。