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フェティッシュの火曜日
 
狭すぎる柔術道場

壁にかかっているのは型の名前。段位が上がるほど単純な技になるらしい。

つながりというエッセンス

壁にかかっているたくさんの札。これは型の名前が書いてあるらしい。型とはこういうものですよ、と篠原さんたちがやってくれた。

型とは、こう来たらこう手をあててこう技をかけるんだ、と文字通りつくられた型。二人でその型をなぞっていく。

「だけどこれはただの型なんだよね」という。型は入れ物であって、そこにさっきの「つながり」やら何らかのエッセンスが入ってはじめて技となるらしい。

このエッセンスがかつて奥義と呼ばれて一子相伝で伝えられたりしたものなんだそうだ。さあ、そろそろ北斗の拳の世界に入ってきた。


こうきてこう、と型を見せてもらう

インターネット時代の武道

たとえば空手が日本に来たとき。空手の「てい」と呼ばれるエッセンスは一子相伝なので伝わって来なかったそうだ。

だけど今ここでは奥義をぽろぽろ教えている。部外者の僕にまでほいほい教えている。「今じゃインターネットやDVDで誰でも見れますよ」という。便利便利だとは聞いていたが、そこまで便利か、インターネットよ。

「八光流のえらい先生もよく書きこんでたりしてるよ」と先生に教えてもらったサイトがあるのだが、ホームページ全盛の時代に作られたであろう古めかしいサイトがでてきた。

こういうの誰が作ったんだろう?と思っていたが、あれえらい先生が作ってたのか。


今日は奥義教えられ放題デー

古川先生は週に一度しか来れないので、来たときにはこのエッセンスを中心に教えてもらうそうだ。

だからみんなさっきから首をかしげて「こうかなこうかな」と言いながらお互いを押し合っている。


奥に一人転がったと同時に「次、お願いします」と左の方

その方が投げられると同時に「お願いします」と左の方


「次、お願いします」自分も技をかけられたい側の人間になった

ダチョウ倶楽部化する道場

みんなおれがおれが、と次々に技をかけられている。この場に来てわかったのは、技をかけられるのはただの受身でなくて、つながりを学ぶという主体的な行為だということ。

傍から見たらダチョウ倶楽部のギャグのように思えて可笑しいのだけど、みんな先生に倒されては「じゃあおれが」と出ていく。

それでみんな「わかった」「わからない」とふんふん頭をひねっているので、変な場所だなーと思う。


こいつなかなかやる気あるな、と思われたせいで技のラッシュ

痛いのは痛いんだけど、一瞬なので辛くはない


「本当は痛いんです…」

「どうだい?」と、技の感想を聞かれてまず口に出たのが、けっこう痛いっすよね、という言葉。

「そうそう、本当は痛いんですよ、うちの技。」とうそも本当もないのだが、やっぱり道場の方でも痛いのは痛いそうだ。誰かが「うちはマゾ集団だから(笑)。」と笑っていた。

「本当に痛いのは声も出ないくらい痛い。」と、そんな技もあるらしい。それなんですか?と聞いたら「『ガクン』っていうんですけど…」となんだそりゃ?な技を教えてもらった。

それではお見せしましょう、一番痛い技、『ガクン』です。


ここでクエスチョンです。この一番痛いガクンという技、この技をかけられた人はどんな声が出るのでしょうか?(世界ふしぎ発見風)

正解は「クゥッ!!!」でした。

技をかけられると風邪をひかない

大丈夫、今日はこれで寝つきがいいと思うよ、と技をかけられた後に言われるのだが、かけられすぎて外したのも何発かあったのだろう。二、三日腕が痛かった。

道場生の方は、転がって血の流れがよくなって風邪なんかひかないようになった、と言っていた。転がると風邪ひかない、という考え方も耳に新しい。ラートとかゾーブとかみんな風邪引いてないのだろうか。

「ちょっと肩こったでー、かけてくれんかー。」とマッサージ感覚で技をせがんだりする人もいた。経絡を使った技が八光流なんだそうだが、そこまでツボに効くのか?


寝ててもできる技
つながった相手を一周させて
コロリン

うわー、うそみたい。この後道場生みんな殺到して先生寝ながら技かけ続ける

かかるほうが美徳

技できれいに倒れずぐしゃっとなってしまった人に、先生が「がまんしてるからこうなるけど」と言ってるのを聞いた。

きれいに倒れている人に「かかりが良いね」「よくかかるなー」と周囲がほめていたりもする。どうやら技はよくかかる方が良いようだ。

だけどその気持ちもわかる。つながりを学べてる気がするのだ。たとえばこの寝そべった人に回されて倒される技。こんなうそだろう?と思う技でも、かけてもらうのがおもしろい。


スタート
ゆっくり
おっとっと
急にステン
コロリン
「で、最後に首を打つ」

だから先生、なぜ僕のとどめを刺す必要があるんですか

回ってみて分かった気がした

先生の周りをぐるっと一周する技。これももちろん僕が手を離せば、終わってしまう技なんだけど、僕は最後までいってすってん転んでいる。

嘘でしょ?なんて思っていたが、やってみてわかった。

手は離さない。なんて言えばいいのかわからないが、先生の手にあわせることによって、体の「つながり」を意識できるのだ。それがおもしろいから離さない。

「あ、これだこれだ、つながってる。そしてこっちいくとよりつながってるな」とつながりを確認できる方向に体を動かしていくと、最終的にはすってんころりん倒されている。

うそでしょ?と思っていたのは、それ本気で闘ってないでしょ?ということだろう。でもこれは戦闘の技なんだろうけど、今はみんなが思うような戦闘の状態じゃないんだと思う。

「つながり」というエッセンスを学ぶ授業なんだから、「つながり」を感じられたほうが良い。今はそういうルールになっている。それがすべてではないけれど、そういう部分はあると思う。


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