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はっけんの水曜日
 
二人羽織でロック&ジャズのライブをやってみた

さあタンデム初ライブのスタートです

YMEの演奏が終盤を迎えた頃、入口裏手にタンデムのロック担当全員が集合。ここにきて斎藤さんと「三度のハモリ」とやらを練習し出すが、そんなの本番でできるわけがない。

客席は立ち見がでるほどの満員。客の7割はジャズを聞きにきた人達だけれど、ありがたいことにタンデムを見にきてくれた友人知人も20名以上入っている。こぞって一番後ろのソファー席に集まっているけど。そしてなんとデイリーポータルZの読者も数名きてくれた。

タンデムは基本的にインターネット上のバンド。前回の記事で素敵なPVをつくってくれた当サイトのライター大北さんによって、USTREAMの生中継も準備完了。

今更ながら、おおごとなのである。


誰よりも早く会場入りした映像担当の大北さん。彼もタンデムのメンバーだと勝手に思っていますから。
ニフティが運営するライブハウス、カルチャーカルチャー店長の横山さんがわざわざきて、気合をいれてくれた。偶然ギターの阿部さんの友人だったりする。

人にお願いしまくって実現したこのイベント、せっかくなのでステージの写真撮影は友人のプロカメラマンである岡田孝雄氏にお願いした。

借金のしすぎで金銭感覚がマヒした人みたいに、今回は多くの人に借りを作りすぎて、ありがとうの言葉で自己破産しそうだ。盟友の斎藤さんは、さっきから緊張しすぎて話す声がとても大きくなっている。

そして僕たちの出番がきた。

 

これが僕達にできる精一杯のロックンロール

いい感じに盛り上がっている会場で、まず最初に演奏する3人が覆面をかぶらずに暗いステージに上がって準備をする。

そして用意ができたところで、斎藤さんと私が登場して、背中のチャックを下ろしてそのままステージ上で二人羽織となる。

会場が当然のようにざわつく。タンデムという存在をはじめて知ったお客さんの頭の上に、はっきりとハテナマークが見えた。

こればかりはUSTREAMでは伝わらない、きてくれたお客さんだけが感じられる空気感。ちょっくら胃が痛い。去年のうちにピロリ菌を退治しておいてよかったなと思った。


斎藤さんのご挨拶からスタート。そして一曲目をはじめるきっかけを見失った。しょっぱなから頭が真っ白。演奏がはじまってしまうと、別に自分がギターを弾いている訳でもないのに、客席の反応を見ている余裕はまるでなかった。

一曲目からダラダラと汗がでてきた。二人羽織だと額を流れる汗を自分の意思で拭けない。そういえば阿部さんが結婚式の余興で友人と二人羽織で弾き語りをやったそうだが、自然すぎて二人羽織だと気づいてもらえなかったらしい。

音程とかは二の次で、とりあえず大きな声を出す。正面の席だと二人羽織って気がつかないかもしれないですね。いやそんなことはないですね。

横から見ればはっきりと二人羽織。この写真、斎藤さんと上西さんの息の合いっぷりが見事。バンドに奥行きがあるので3Dコンテンツに最適かもしれない。

ちょっと離れちゃうと、会場が暗いので二人羽織に見えないかも。FJQをみるためにこのタイミングで入場した人は、これが二人羽織だと気がついただろうか。

三曲目のMATSU-KATAで完全に歌詞が飛んだ。勝手に人を歌にした罰が当たったんだなと反省。
アイシャドー with メガネ。得意のピック投げを今日も決めていた。

ステージ上で水を飲むだけで笑いが起きる。二人羽織だとなにをするにしてもお客さんの期待するハードルが下がってくれて助かる。

ロック版タンデムでの3曲をどうにか終えて、ジャズ版タンデムへとメタモルフォーゼ。その間にタンデム第4のフロントメンバーである地主さんがUSTREAMの生中継であつめたコメントを読み上げる。急にラジオの公開収録みたいになった。

バックメンバーの準備ができたところで、ステージ上で二人羽織の準備。今思うと、この着替えの時が一番歓声が大きかったかもしれない。

一仕事を終えて舞台袖から見守るベースの上西さん。前日に「音を楽しむと書いて、音楽なんだよ」とのアドバイスをもらった。
同じくドラムの太一さんとギターの阿部さん。今更だけど、彼らと人前でライブができたということがうれしい。

 

そして二人羽織のジャズがスタートした

曲の練習はしっかりしたけれど(それでも歌詞を間違えたが)、トークの練習はまったくしていなかったため、ちょっと空気がグダグダになったところでジャズ版タンデムがスタート。

ロック版タンデムは、「結婚式の新郎側余興をやるのだけれど、来ている人は新婦側友人が七割なのでアウェイ」みたいな空気感だったが、ここで見た目とんちんかんなバンドがうっかり本気のジャズ演奏をはじめたので、一気に初対面のお客さんの心を掴んだ。たぶん。

よく恋愛の記事とかで「女はギャップに弱い」というキーワードを見かけるが、それってこういうことなんだろうなと思った。でも演奏と歌で、今度は悪い意味でのギャップがあったので、笑いはとれたがモテはしなかった。


二人羽織ということをおいておいても、なんとなくコミックバンド風の雰囲気が漂うのはなぜだろう。ある意味、このスタイルこそ「FakeJazzQuintet」という名前が似合うかもしれない。

誰がどの楽器をやるのかは私が勝手に決めたのだけれど、歌詞カードを置く譜面台もあるし、ピアノの二人羽織は超ラクチン。

個人的には振り回される斎藤さんが一番の見どころ。カルチャーカルチャー店長の横山さんも振り回されっぷりを褒めていたよ。

二つ返事で協力してくれた地主さん。Tシャツよりもダボっとした服の方が二人羽織が自然ですね。とんでもなく暑いらしいけど。

櫻田さんのお面もニヒルな表情のジャズ版に変わっている。演奏は今村浩二さん。

今日初めて二人羽織に挑戦した地主さんが、もはや自分の芸にしていてちょっとくやしい。トークタイムの手なれた感じといい、器用な人なんですね。

いっぱいのお客さんを前にして、全5曲を気持ちよく演奏して(してないけど)、無事に余興タイムは終了。最後はつい私も鍵盤を叩いたので手が四本になってしまった。そしてFJQと掛け持ちの4人は、汗だくのまま次のステージへ。

ステージというのは、客席側から見あげるのと、上に上がって客席を見下ろすのでは、当たり前だけれど、まるっきり違う景色が広がっていた。心の中の長州力が、「またぐなよ」といっていたけど、見えないロープをまたいでステージに上がってしまったのだ。


USTREAMで放送したものの録画はこちら。8分過ぎから演奏がはじまります。ジャズ版は人形劇にしか見えないです。

音程が外れるのは想定内としても、覚えていたはずの歌詞を間違えたり、トークの受け答えがまったくだったり、客席を見る余裕がなかったり。

ステージが終わった後、斎藤さんが「練習以上のものはできないですね」といったのが印象的だった。


逃げるようにしてステージ横のエレベーターで地上に上がった途端に現実へと戻った。

反省すべき点はたくさんあったけれど、やったことに対する後悔は一つもない。メンバーも「やりきったね」といってくれた。

ライブが終わってからも、しばらくはこの日の話ばかりをしていた。

やってよかった。

ありがとうございました

FakeJazzQuintet

Yanko Music Entertainment

TANDEM (ROCK)
 Front Guiter 玉置豊
 Back Guiter 阿部隆之NEEL
 Front Bass 斎藤充博
 Back Bass 上西泰史Rama Amoeba
 Front Drums 櫻田智也
 Back Drums 太一ROSERIA

TANDEM (JAZZ)
 Front Vibraphone 斎藤充博
 Back Vibraphone K-Ta
  Front Piano 玉置豊
 Back Piano 佐藤真也
 Front Bass 地主恵亮
 Back Bass 関谷友貴
 Front Drums 櫻田智也
 Back Drums 今村浩二(LIPNITZ

写真撮影:岡田孝雄

映像配信:大北栄人

会場:SHIBUYA PLUG

SET LIST
 WE ARE TANDEM !
 DPZ
 MATSU KATA
 ルパン三世のテーマ'80
  DPZ JAZZ ver.


WE ARE TANDEM !

TANDEM(タンデム)

このロゴ、魚の骨がモチーフなのですが、
頭の向きが作法的に間違ってますね。


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