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ひらめきの月曜日
 
思い出の品をミニチュアに

このページは僕の昔話が延々と書かれているだけなので興味がない人は飛ばしても差し支えありませんよ

楽しい分解はここまでで、ここからは地道な力仕事。ニッパー、ノコギリ、カッター等を駆使してプラスチックを切っていく。


ほんとうに地味な力作業

このキーボードを使っていた前の会社では、僕はシステムエンジニアをしていて、病院のシステムを作っていた。新卒から丸4年いたので忘れられない出来事はたくさんある。

最初の忘れられない出来事は、入社初日のことだ。入社式の最中に、なにかの書類が配られた。僕が前の人から書類の束を受け取って、一枚取って、次へ回そうと後ろを向いたときだ。そこに高校の同級生がいた。同じ吹奏楽部の、フルートの子だった。同じ会社に入っただけでもすごいけど、あの年は新卒が200人くらいいたはずで、席が前後になるのもすごい偶然だったのだ。


ようやく枠の部分を切り出したところ

このキーボードを使っていた頃、僕はひまわりの種を片手で食べるのがうまかった。

僕がいたプロジェクトでは、システムの設計を日本でやって、プログラムは中国の会社に外注していた。その関係で中国からちょくちょく人が来るのだけど、みんなお土産にひまわりの種を買ってきてくれたのだ。(安くてかさがあるから)

おかげで、片手をキーボードに置いたまま片手で種をつかみ、歯で殻を割って、中身だけ口の中に落とす、という一連の流れを2秒でこなせるようになった。仕事しながらポリポリポリポリポリポリ食べていた。あのとき、片手をひまわり担当にしていたせいで、僕はいまだにキーボードの片手打ちが得意だ。


主にノコギリ、ニッパー等の力ずく系工具ばかり使用した結果が、この切断面である

システムトラブルが続いて客先に1ヵ月くらい泊まり込んでいたことがあった。特にその日はデータベースの更新エラーがあり、お客さんのデータがめちゃくちゃになっていた。

徹夜つづきのテンションで作業していると、急に神懸かり的に冴えてくる瞬間がある。すべてのデータ異常を一気に修正するプログラムが書けてしまったのだ。僕が書いたというより、天から降ってきた、という感じであった。

さっそく意気揚々とそれを実行したのだけど、でも結局単位の換算式だかなんだかが間違っていて、めちゃくちゃだったデータはさらに目も当てられない状態に。目の前でわずか数秒間のうちにみるみる破壊されていく本番データ。圧巻であった。

(あとで前日のバックアップと今日の更新履歴を使って元に戻したけど、数時間ぶんの余分な作業が発生した)


一通りの部品が揃った

急に自分語りが始まって面食らっていたらごめん。

「思い出の品」というのをみなさんに共有してもらいたいのと、(どちらかというとこっちが大きいのだが)作業工程で特に書くことがないからだ。こういう成形作業ってひたすら地味なのである。なのに3時間くらいかかった。

もういいよ、って思ったらすぐに矢印キーの右ボタンを押そう。


力ずくでやったぶんはヤスリがけでフォロー

僕が在職中に、医療SE向けの認定資格というのができて、僕のいた部署のメンバーは全員受けることになっていた。でも試験当日、方向音痴の僕は、会場にたどり着けなかったのだ。

案内の悪さに半分怒りながら事務所に電話で問い合せたりしていたのだけど、けっきょく間に合わなかった。

後日、上司に試験を受けなかったことをとがめられて、ただ道に迷ったって言うのが悔しくて「トンボ追いかけてたら道に迷った」と尾びれをつけた。この会話を妙によく覚えてるんだけど、あの負けず嫌いはなんだったのか。


アロンアルファで止めた

病院システムをやってたので、客先としていろんな病院に行った。病院には患者さん向けにいろんな施設があって、それがちょっと変でおもしろかったりした。

A病院の食堂は、パスタの大盛りを頼むと3人前出てくる。B病院には寿司屋があり、なぜか食べ放題コースまであった。C病院は中身が見えるロボットぽい自販機(サーービスエリアとかにあるお菓子売ってるやつ)の巨大版みたいなのがあり、深夜にそこでお菓子を買うのが楽しかった。

D病院では、理由はわからないが売店に大量の動物パペット(手袋みたいになってるぬいぐるみ)が売っていた。オジギさせるとなぜか顔面がへこむ。ぜんぜん可愛くないのがおかしくて、僕はそれを集めていた。


バラバラになったシリコンを戻します

そういえばおもしろい作業があった。
地図をたよりに、病院内に散らばるパソコンを一台残らず探してソフトをインストールする、という遊び…じゃなかった作業だ。

普通はソフトを自動配信するしくみがあるのだけど、何かの理由でそれが使えないときにこの作業が発生する。中には使ってないからといってナースステーションの奥に追いやられているパソコンもあったりして、そういう場合は聞き込み調査が必要になることもあり、宝探し感覚で楽しかったのを覚えている。

ただし、システムがトラブっているときにこれがあると最悪である。行く先々で漏れなく怒られるからだ。一日に怒られる回数の最高記録をガンガン更新できる。


あとは裏蓋を接着

なんか昔のことばっかり振り返ってたらなんだか走馬燈のようで、俺もうすぐ死ぬのかな…、っていう気分になってきた。思い出が致死量を越えようとしている。

回想はこのへんでやめて、ミニチュアの方がそろそろ完成である。


できました

 

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