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フェティッシュの火曜日
 
さじを投げて魚は釣れるか

狙いの魚を追って
住宅街の中を走る細い水路へ。

とっておきがあるなら最初からそこに行けよと思われるかもしれないが、そうしなかったのには訳がある。狙いの魚が夜行性であるからだ。
その魚が何かというと。

来た来た!
スプーンを咥えた青黒い魚体。

こちら。何だかわかるだろうか?誰でも知っている、ごく身近な魚なのだけれど。

顔アップ。あら、バカ面でかわいい。
そう。答えはナマズ。

実を言うと今回の実験を行うにあたって、僕はこの魚に多大な期待を寄せていた。

というのは、ナマズは小魚や小動物を貪欲に食い漁るが、実はひどく目が悪く、獲物を探す際に水の振動を頼りにするという性質を持っているためだ。

つまり、スプーンの見た目がいくら生き物離れしていても、彼らならきっと泳ぐ気配だけを感じ取って生き物だと思い込み、食いついてくれるだろうと考えたのだ。

いざというときの安全パイ的な存在として期待をかけていたのである。
事実、釣りはじめて一時間と経たないうちに思惑通りに食いついてくれた。

逆に言えば、ナマズすら釣れないようなら今回の実験はどこへ行っても失敗に終わるだろうと考えられた。まあ池でブラックバスが釣れた時点でそういった心配は杞憂であることが証明されたのだが。

がぼぁー。 
結構大きい。60センチくらいか。
ブラックバスと同じくティースプーンでの獲物。
カレーライスを食べるおじさんのような理想的なくわえっぷり。こういう画が欲しかった。
遊んでくれてありがとう。

カメのことは置いておくとして、川でもスプーンで魚が釣れた。これはもうスプーンには何か魚を惹きつける要素が確実にあると断言していいだろう。ルアーのご先祖様=スプーン説がかなり真実味を帯びてきた。

思惑通りに一尾を釣ることができて満足したが、せっかくなので他のスプーンたちにも日の目を見させてあげようと思い釣りを続行することに。

またあっさり釣れる。食いついたのはコーヒースプーン。

続けざまにもう一尾釣れてしまった。
なんだ、やるじゃないかスプーン!

かわいい花が咲いていたのでメルヘンな写真を撮ろうとしたら すごく悪趣味になった。
周囲の暗さとナマズの存在感が仇となったか。
ナマズって口の中黄色いんだ・・・。

実はこの二尾の他にも、釣り上げられこそしなかったものの、3回ほどナマズらしきアタックがあった。本当に大人気である。スプーンはナマズにとってそんなにも魅力的な存在だったのだろうか。それともナマズは食い意地が張っているから何でもとりあえず口にしてみるだけなのだろうか。たぶん後者だ。

丸一日さじを投げ続けた結果、池に続いて川でもなんとか成果を挙げることができた。まさかこんなにうまくいくとは思わなかった。
となると、もう残されたフィールドは海だけだ。


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