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ひらめきの月曜日
 
250km走るマラソン大会は、やはり楽しい

再び夜が明ける

宗頭文化センターを出て1つ峠を越えて山道を進み、玉江駅近くまで来ると再び夜が明けてきます。この辺りで140km部門の選手と合流です。


195km地点、玉江駅。残り55km。残り時間は約12時間。

玉江駅からは海岸沿いの道を進み萩城跡へ向かいます。


207km地点の虎が崎食堂チェックポイント。8時半頃通過。残す所あと43km。残り時間9時間半。行けるのか。
この日は暑かったので虎が崎食堂エイドではビールをガッツリ飲んでいる選手がいました。ウルトラマラソンでは走行中にビールを飲む人が結構います。

萩城跡前を通過したら、更に海沿いを進んで笠山まで行きます。笠山を1周してチェックポイントを通過して再び萩方面へ戻ります。


チェックシートコンプリート。あとはゴールを目指すばかり。

萩に戻ってきたら次は東光寺を目指します。ここが最終チェックポイント。後は最後の難関。萩往還道を越えればゴールです。

 

凄い山道

萩市内を抜けて往還道の入口を目指す長い急坂を上がると道の駅に着きます。この辺りで70km部門、35km部門の人とも合流します。ここからいよいよ往還道へ突入。

まあ、これが凄いのなんの。


いきなりの山道。

往還道に入って早々、普通に山道です。それを越えると、暫くは田んぼや畑の横を通る短めアップダウンが続きます。


川沿いの道はのどかでいい。しかし、このとき2、3回意識が無くなりながら走っていた。眠さピーク。

やがて再び急な峠を越えると古い町並みに出ます。


明木市の町並み。古い趣のある町ですが、関門時間が迫っていてゆっくり見ている時間なし。しかも、意識が飛び気味。

明木市の町並みを超えると再び急坂が待っています。


登りも下りも直線的で凄い急。どうして昔の人はこんな急な坂ばかり作ったんだ!

実は明木市を超えたあたりから暫く記憶が曖昧です。半分寝ていたような、訳のわからない状況でした。

自分が何処にいるのか、なんで走っているのかが分からなくなる。目の前に走っている人がいて、「ああ、そうだレース中だった」と気づくような状態。更に「この前にいる人が全部いなくなると終わりなんだったか?」と思ったり。走りすぎは体に良くないですね。


ゴールの数km手前はこんな石畳の急坂。250km近く走らせて最後はこれですか!と言いたくなる。足の裏やら膝やらが凄く痛い。

そんな状態でもなんとか止まらず、頻繁に時計をみて制限時間を気にしながら進みました。ここまで来たらゴールしない訳にはいきません。

その結果・・・

 

無事完踏!


最後は全力ダッシュしてジャンプしてゴール。47時間41分48秒の走りがこれで終わる。

なんとか時間内でのゴールが出来ました。この大会では「完走」とは言わず「完踏」と言います。長い走りだった。そして楽しかった。


完踏してもらえる物は完踏証とメダル。あと参加賞のバスタオルとカップ。それだけです。しかし、物ではない楽しい何かは有り余るほど貰っています。

250km走るマラソンは、やはり楽しい

というわけで、無事完踏です。今までこの大会に4回出場して2度目の完踏。今回の完踏者は429人中222人でした。完踏出来なかった方も、完踏出来た方もそれぞれの走りを楽しんだことと思います。

こういった大会は、走るという行為そのものよりも、自らの足で走り長い距離を移動する旅という部分に楽しさが有ると思っています。途中、酷い吐き気に襲われたり、激しい眠気で意識を失いながら走ったり、寝ぼけて転んだり。爪が剥がれたり、膝を壊すこともあるでしょう。でも、それも楽しい旅の思い出。

途中のエイドで手伝っていた方々や他のランナーとの会話。壮大で美しい景色。暗闇に光る星も、途中で食べたオニギリの味も、走り終わると全部が楽しい記憶となります。

さあ、次はどこの道を走ろう。

ゴール後のビールはやはり世界一旨かった。そして、飲んだら倒れるように寝ていた。2日寝ないで走った後のビールは世界一早く回る。

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