居酒屋入店(9:30)
ガラガラガラ。入ると、ほとんどの客がこっちを向いた。そしてすぐに視線を各々の酒に戻した。ちょっとビビる。
なんだか平均年令が高い。中は意外と広く、コンビニが1つ入りそうな大きさだ。大部分が牛丼屋のようなカウンター席で、テーブル席は3つほどあった。テーブル席は全部埋まっていて、年配の人たちが静かにお酒を飲んでいた。
私たちはカウンターに座った。すぐにおしんことお茶が出てきた。
「……と、とりあえずビールお願いします」
「大と中がありますが」
「じゃあ……大で」
3分ほど待っただろうか。ドン、と生ビールが目の前に置かれた。
夜ならば、素直に「おつかれ! ごくごく、プハー」と飲めるのだが、今日ばかりは躊躇してしまう。普通の会社なら、朝礼が始まってる時間だ。
「なんか、この時間にジョッキ見てるとくらくらしますね」
「朝酒ってきっと、すげえ酔いますよ」
「なんか、お母さんごめんなさいっていう気持ちになりますね」
「………」
「………」
思いきって飲む。
ぐびい。
ビールを流し込むと、クラッときた。血管がひらいて、頭に血がドッとまわっているに違いない。
「けっこうキますね」
「ええ、キますよ………」
「なんでですかねえ?」
「朝だからじゃないですか?」
「いや、何で朝だからまわるのか………」
「んー………」
とりあえず、何かつまみを頼もうと壁のメニューを見る。
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