千住の飲み屋さんへ
日が暮れてきたので、居酒屋さんに入ってみることにした。
もちろん今回はチェーン店ではなく、地域密着型の店を目指した。
大人の男性ならよくご存じかもしれないが、シブい趣味の中で「居酒屋巡礼」というジャンルがある。
地元の人が通い続ける、古い居酒屋を訪ね歩くというやつだ。
「千住のような下町の店はやはり、そういう趣味の方が行くような店だろう。やはり男性が多くて、私には敷居が高いのではないか?」
と心配していたのだが………。
目星を付けておいた、何軒かの前まで行った。いちばん有名な「大はし」は改装中だったので、浮かれた似顔絵の看板にひかれて「永見」という店に入った。
「いらっしゃいませー!」
入ってすぐレジのところに、似顔絵そっくりのご主人がニコニコと座っていた。
2階に通される。かなり広い居酒屋で、1フロアに50人くらいいた。照明は明るく、店員は女性ばかり。年配の方と、若いカタコトの留学生。
客層も、大人の男性ばかりではなく、カップル、おばちゃんたち、若い女の子、外人観光客もいた。酒の飲める、あらゆる年令層がひしめいていた。すごい。予想を遥かに超えた空間だった。
注文すると、30秒でビールがやってきた。あまりの早さにビビる。
料理を適当に頼んでみる。
焼き鳥、焼き魚、さしみ、揚げ物………居酒屋によくあるメニューばかりだったが、これが………もんのすごく………………ウマかった。
しかも安い。安い居酒屋チェーン並みの値段であった。
手をあげると、店員さんは、あっというまにやってきた。応対も最高。
「こ、これが千住の居酒屋の………平均?」
なんて、なんて素晴らしい町なんだ、千住。感激しながら、私は酔っぱらってしまった。
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