●最初のトライは失敗に終わった
13時30分:3回表ホークスの攻撃。 いよいよファーストトライだ。 なるべく自然に一番前に下っていくために、まずは地図帳を用意した。上京して道に迷い込んだ野球少年を装い、林さんの携帯を鳴らす。
「これから行きます」
これから行きます、と言ったものの中々勇気が出ずにウロウロしてしまう。
これから行きます…… ※映像に入っている歓声は僕を応援しているものではありません。
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意を決して一番前まで一気に降りるが、想像以上に周囲の視線が気にかかる。
一番前の席には「通路での観戦は出来ません」「携帯電話はご遠慮下さい。」という看板がある。 その看板を目の前にして、周囲の冷たい視線に耐えられる時間は30秒。それ以上は無理だ。
トライの舞台裏 その1 ※映像に入っている歓声は僕を応援しているものではありません。
降りて来た道を一気に登り自分の席に戻る。 登る時は座っている人たち全員がこっちを見てるように感じる。刺す様な視線が辛い。早く自分の席に……。
小走りで戻りながら、林さんの携帯を鳴らす。 「どうでした?写りました?」 「いや、写らないですね」 「えっ?ちょうどファウル打った時なんですけど」 「いや、写ってないです」 林さんとの電話でのやりとりの結果、どうやら僕は通路を1本間違えていた事が発覚。
「黄色いTシャツの子供と寝ている女性の間の通路ですよ」 林さんから指示が出る。最初にもっと確認しておくべきだった。仕事の基本、ほう・れん・そう(報告・連絡・相談)を忘れてはいけない。 こうして最初のトライは失敗に終わった。