衣料品なども売っていた。 「しかし、どれも安いけど……」 「持って帰れないですね」 「クーラーボックスとか必要ですよ」 「っていうか、量的にも、車で来ないと、話にならないですよ……」
そうなのだ。ここに来る人のほとんどは車で来ていて、どんどん荷物を積んで帰っていく。
「確かに、近所にこんな安い朝市があって、車でちゃっと来れる距離だったら、来ちゃいますよねえ」 「じゃあ、私たちみたいな、車持ってない人は、どうしたらいいんですかねえ」 「諦める、とか……」 「……」
ふと防波堤を見ると、釣り糸をたれる人でいっぱいだった。 海面を覗き込むと、すぐ魚の姿が見えた。豊かな海なのだ。 海のそばに住んでいる人は、海の愉しみを享受出来る。あたりまえだが、そうなのだ。
港にハトがいた。
「あ、水たまりの水、飲んでる」 「『しょっばくてうめえんだ、コレが!』とか、言ってんじゃないですかねえ」 「しかしなんか、海っぺりにハトがいると、妙に違和感ありますね」 「なんでですかねえ」 「でも私達、このハトみたいですよね」 「……」 「……」
気がついたら、屋台で売っている缶ビールを飲んでいた。