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特集


ちしきの金曜日
 
全国の皆さん、吹田市ってこんなとこです!

新しい吹田市の玄関口、江坂駅
いかにも副都心、新都心らしい風景。

新市街の入り口、江坂駅へ。

新市街地の入り口、江坂駅へ。この辺は高校生の頃やフリーターの頃によく遊びに行った。

歴史を振り返るとこの辺りはその昔、延々に竹やぶが広がっているような田舎だったらしい。しかし地下鉄御堂筋線が通り、ニュータウンができて、万博が開催されてあっという間に住宅とビルだらけになったそうだ。中でも江坂は大阪府がいわゆる副都心として計画した街で、妙にきれいな印象がある。
この近辺にローソン、ダスキン、エースコック、SNKなどの本社がある。

フリーターの時期に僕は派遣のアルバイトである企業の営業の人と一緒に頭を下げに行くだけの仕事をやった。今思うとなんだか変な仕事である。
その仕事内容とは、ある企業のオフィス用の製品に不備があると派遣バイトの僕と営業の社員の人がオフィスに言って「申し訳ありません、すぐなんとかします」と言って謝って回るのだ。謝ると冷笑されるか、「いいから直してよ」と言われるかどちらかである。
その企業の人の説明だと、一人で謝りに行ったら不誠実だ。だけど社員二人で行ったら仕事が間に合わない。そこで派遣バイトと社員、二人セットで行く事にした。という事らしい。
その時の取引先の会社が江坂にあったので、江坂に行くといつも僕はその時一緒に謝った社員の人を思い出すのだ。仕事は辛かったけど、その人の話は面白かった。
何も悪い事はしてないけど、ただひたすら機械的に謝る。頭を下げるのは腑に落ちない気もするのだが、謝るしか仕事が与えられていないので謝るしかない。この時期に仕事と社会の業の深さを学んだ気もする。
ただただ罪をかぶって謝るだけというつまらないものだった。10代の僕が垣間見た「社会の裏」である。

ここには大阪の若手バンドが一回は出演するというライブハウス「江坂ブーミンホール」や当時は大阪で唯一ここにしかなかった「東急ハンズ」があって、高校生の頃からよく遊びに来た。

いや、ほんとそれぐらいしかない街なんですが。
あと、なぜかダスキンの本社には岡本太郎作の壁画があります。


岡本太郎の壁画、ダスキン本社前。

ところで、吹田市で岡本太郎といえば、やはりあれである。

あれを目指して江坂から万博記念公園駅へ。


あれ。




太陽の塔。

ちょっと想像してほしい。自分の生まれ育った街にこんな大きな、異様な塔が建っていたらどう思うだろう。偉大なる芸術作品には違いないが、子供の頃(6歳までの時期)、僕はこの塔が怖くて仕方なかった。吹田市で生まれ育った人の多くはこの意見に賛同してくれると思う。
なんで顔らしきものが二つあるの? と親に聞いても親はさー? と言うばかり。何か秘密があるのでは、とよけいに怖くなったものだ。

しかし、後になって、岡本太郎の功績を知るに、こんな塔がある街ってなんか平和なのかなー、などとも思う。とにかく吹田出身の人間は多少の“太陽の塔コンプレックス”抱えていると思う。


しかも遠くから見ると太陽の塔が高速道路を見張ってるみたいなんだ。

万博記念講演に併設されている遊園地、エキスポランド
こちらが記念公園。大人がデートをしていた。
民族学博物館

万博公園の苦い思い出。

万博公園は大きく分けると「記念公園」と「エキスポランド」に分かれる。エキスポランドは遊園地で、記念公園はただ景観が美しくて、太陽の塔のある公園だ。

ここに思春期の苦い思い出がある。

高校生の時、僕は初めて女の子とデートらしきデートをした。友人に冷やかされる中、意中の女の子と万博公園に行く約束を取り付けたのだ。

女の子は万博公園内の遊園地、エキスポランドに行くと思っていたようだ。
しかし、「一風変わった男だと思われたい」という変な思いがあった僕は、デートコースの定番エキスポランドをあえてはずして、記念公園のほうに向かった。今思うと背伸びをして、公園で大人のデートがしたいという思いがあったのだろう。いかにも男子高校生らしい発想である。

記念公園には「国立民族博物館」という、世界の民族衣装や風土品が見られる博物館があって、そこに女の子を連れていった。

僕「ほら、あれがイヌイットの服やで。あんなに薄くても防寒性があるらしいんや」
女の子「……そうなんや」
僕「これがインドの楽器、シタールやで。ジョージ・ハリスンが持ち帰ったという。エキゾチックな音やろ?」
女の子「……そうなんや」
僕「……つまらん?」
女の子「いや。そんな事ないよ」

ジェットコースターや観覧車でのベタなデートをイメージしていた女の子にとってはシタール鑑賞や民族服鑑賞はつらい。

途中から僕の話そっちのけでポケベルばっかりいじっていた女の子はこの日のデート以来、すっかり連絡がとれなくなった。ま、今思うと当然の成り行きなんですが。
当時はショックでした。
そのうえ友人にもバカにされる結末になった。

ちくしょー!!



世界中の国や地域の生活スタイル、文化を知る事ができる。当時の女の子は気にいってくれなかったけど結構おもしろいんですよ。万博に来たらぜひ一度遊びに行ってください。


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