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特集


土曜ワイド工場
 
高専ロボコンを升席で観戦してきた

機械の国の祭典×手作りの応援

ひとまずここで、会場周辺の様子をお伝えします。


ASIMOは玄関でも足踏みしてお出迎え。 協賛のマブチモーターもここぞと製品を展示。モーター萌えー。
私らの隣の、札幌高専の応援団には、マリモがいた。モリゾーじゃないよ。 他にも特産品がいっぱい応援に来ていた。牛コスプレとか・・・。
ハッピも、ぐっとくるものがたくさんあった。 岐阜は、鵜飼い。ロボコン以外にも使えそう。
大分は、さすが、温泉ザル。 有明高専も粋だねぇ。

もの言わぬ選手たち

さて競技に戻ろう。各校には毎年5月に、その年の大会要綱がまわってくる。その要綱に基づいて、緻密に設計をしていくわけだが、同じ競技をこなすにもいろいろな技術・考え方があるらしい。それが各校のロボットデザインにしっかり現れている。


これがまたすごく速かったのだ、小山高専の「でんぐり君」。1/4くらいの弧の上を本体がすべるしくみ。 そういえば、お目見えのときには高校野球のように、学校紹介VTRが流れる。ちょっと文化祭のような雰囲気。
松江高専の「LEチャーリー」。なぜか電飾。「まつえ」と書いてある。 敗れてしまった。頭もロボと同じく「C」にしてきたのに。

フィールド内には各校の操縦手のほかに3名の審判、カメラを持ったテレビクルーの方々もいて、遠くからではなかなかうまく写真が撮れなかった。撮れなかったなかにも、いろいろ感心なメカがいて、機能を紹介されるたびに会場から「おーっ」と歓声があがっていた。

例えば、福井高専のメカは途中、煙が出ていて、司会者や山田五郎氏もその点を心配していたのだが、聞けばなんと「熱したニクロム線でゴムを切って、その反動で飛ぶ」という仕掛けなのだった。なんだか昭和30年代の子供の知恵みたいである。

煙が出ても「不良品」ではなく、「仕様」だと堂々と言えるのだ。


見てると自分の足がつりそう。 もうなんだかいろいろたいへんという感じ。
M字開脚(失礼しました)。 この黒くて丸いかわいいロボは、なんと圧縮空気で「飛ぶ」!

この日のために1年、土日も返上でがんばって制作したロボットも、どうしても動いてくれなかったり、予想もしない動きをして、平均台から落ちたりハードルを倒したりする。そして敵チームに先を越されて時間オーバー。

なぜかこっちの目が潤んできた。え?なんで?なんでロボコンで目が潤む?


馬みたいでかっこいいぞ。そして強かった。 バランスをくずすお方もいる。
買い物カートにちょっと似ている2チーム。 赤のほうの自動ロボ、よじのぼるよりも長い手で一発でバトンを差し込んでいた。鹿児島高専だけに「示現流だ、チェストォー!」と実況が叫んでいました。

負けていくチームを見るうち、どうしようもなく心を動かされることに気づいた。照れ隠しで、その原因をいっしょうけんめい分析する私だ。

どんなに現代の技術が高度になって、ロボットが人間の意図を解し複雑な動きをしようと、やはり人間とロボットの間には相互理解をはばむ壁がまだまだある。どんどん人間らしくなっていくロボット、でも人間の考えていることは、ロボットには全部はわかってもらえない。

突然動かなくなったロボット。その彼が今考えていること、それは自分には伝わらない。人間ならまだわかる。倒れた彼に肩をかせば、「悪かったな」と苦笑いのひとつもしてくれるだろう。それで事情はわかってやれる。が、ロボットは黙して何も語らない。

その、言ってみれば「せつなさ」が、どうしようもなく迫ってくる状況が、ロボコンなのだと思う。


すっかり熱中している私。 口が開いたまま観戦。


 

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