「これもめちゃくちゃ少女マンガで、私が生涯で一番好きな漫画なんですけど『彼方から』(ひかわきょうこ)というマンガで」
−−現代の女の子が何かのきっかけへ異世界へ、てSF的展開は定番っちゃ定番ですよね。
「そうですね。でも、普通そういうのって最初から意志の疎通がなぜか出来たりするじゃないですか?話が通じたり、翻訳出来る何かを食べたとか。このマンガは最初身振り手振りから何ヶ月もかけて言葉を勉強していくんですよ」
−−へー!それは珍しい。
「ヒーロー側の主人公は異世界から来た災厄を殺しに来たんだけど、それが若い女の子だから殺せないんです。だから、言葉が通じて詳細を話せるまで一緒にいよう、ってことになるんです。そのうちに恋愛関係になるわけですけど」
−−なるほど!「空から落ちてきて惚れました」ではなく、関わらなくてはいけない理由付けがしっかりしてるんですね。
「話さなきゃいけない、でも話したくないって葛藤がすごく切なかったり、彼女もまた自分の意味を知って遠ざかったり。それで言葉の表現が上手いんですよ!世界における彼女の立場と、恋愛における彼女の立場が上手くかかってたりして」
−−ただストーリーの良さだけでない。
「そしてただの恋愛ファンタジーではなくて、『なんで自分がこの異世界に来たんだろう』って事を彼女も悩むんです。世界を良くしたいのに自分の力は小さい、でもこの世界に少しずつでも及ぶようにすればいいんだ、少しずつ波紋を広めていくようにすれば影響が何かにあるだろう、って」
−−その辺りも中学生向けですねえ。
「ファンタジーであり恋愛でありアイデンティティの確立であり、いろんな要素が詰まってるんですよ。漫画として読むにもテンポよくて面白い」 |