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ちしきの金曜日
 
知らない人を「おかあさん」と呼びたい

2番目のおかあさんに会いに行く

やさしかったおかあさんとの思い出を胸に、2番目のおかあさんに会いに行くことにした。向かったのは、おかあさんの総本山ともいうべき場所だ。


その名も「居酒屋かあさん」

「かあさん」は、まさにおふくろの味という家庭料理が味わえる人気の居酒屋チェーンだ。ここ新宿界隈にも5つの店舗がある。

同店の最大の特徴はまさに「おかあさん」的な女性がたくさん働いているということだ。そんなおかあさんたちとの温かいふれあいを求めて通う人も多いのだろう。


カウンターにはおふくろの味が並ぶ

様々なタイプのおかあさんがいるのも、居酒屋かあさんのいいところだ。やさしいおかあさん、肝っ玉かあさん、様々なおかあさんが出迎えてくれる。

どんなおかあさんでも選び放題だ。


僕とおかあさん

以前、別の店舗に行った時も、客の多くが店員さんのことを「おかあさん」と呼んでいた。

実の息子以外から「おかあさん」と呼ばれるのはどんな気持ちなんだろうか。少し話を聞いてみた。

僕 「お客さんから“おかあさん”と呼ばれることってやっぱり多いんですか?」

おかあさん 「そうね、サラリーマンのお客さんは多いかもしれないわね。でも呼び名なんて別にどうとでも呼んでくれって感じよね。“おかあさん”だろうが“ママ”だろうが」


「どうとでも呼んでちょうだい」

僕 「“おかあさん”って呼ばれて嫌じゃないですか?」

おかあさん 「ぜんぜん嫌じゃないわよ。だって本当におかあさんみたいな年齢だもんね。逆にそう言って親しんでくれるのは嬉しいことよね」

僕 「やはりこのお店って“おかあさん的な人”しか働けないんですか?」

おかあさん 「そんなことないわよ。いちおう18歳から募集しているから、若い娘も大歓迎みたい。でも実際にはやっぱり、おかあさんみたいな人が多いわね」

僕 「これからも“おかあさん”もしくは“ママ”って呼んでいいですか?」

おかあさん 「もちろんよ」

たいした話は聞けなかったが、どうやら「おかあさん」と呼ばれることは嫌ではないらしいということが分かった。


そして、僕に東京のおかあさんができた。

「おかあさん」の法則は「おとうさん」にも当てはまるのか

さて、ここまでで分かったのは、どうやらおかあさん的な女性を「おかあさん」と呼ぶと新密度が増すらしいということ。だが、これは「おかあさん」に限ったことなのだろうか? 「おとうさん」には当てはまらないのだろうか?

試しに、おとうさん的な人に「おとうさん」と話しかけてみる。


「おとうさん。新宿区役所はどこですか?」

「ああ…、そこ曲がった先だよ」

親切に答えてくれるが、笑顔はない。「おかあさん」とは対照的にわりとぶっきらぼうな対応である。まあ、おとうさんってそういうものかもしれない。

とにもかくにも、「おかあさん」という呼称には「おとうさん」にはない特別な力があるようだ。


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